【シニア副業が3年で倍増】介護・リハビリ現場が最多。医療、介護スタッフがが知るべき「スポットワーク化」の現実
はじめに:60歳以上のシニア層で「副業」が急増する背景
現在、60歳以上のシニア層における副業市場が急速に拡大しています。
背景にあるのは、深刻な人手不足に悩む企業側による「経験豊富な人材の活用」と、役職定年や再雇用後に直面する「収入減少を補いたい」という働き手側のニーズです。
この市場の変化は、現在のヘルスケア業界の最前線で働く現役医療・介護スタッフにとっても、自身の将来のキャリアや働き方を左右するかもしれません。最新の調査動向をもとに、その実態を情報に基づき解説します。
1. スポットワークの求人数は3年で約2倍に。市場を牽引するのは介護・医療助手です。
シニア向けの副業市場がどれほど拡大しているのか、具体的なデータを見ていきます。
求人データの分析を行うフロッグ社(東京・千代田)の調査によると、応募条件に「シニア」を含み、かつ「Wワーク」または「副業」が指定されている求人数は、2023年1月時点を100とした場合、2026年3月時点には201(約2倍)にまで急増していることが分かりました。直近の2026年5月時点(数値:165)でも、依然として高い水準を維持しています。
では、具体的にどのような職種でシニアの副業が求められているのでしょうか。
中高年に特化した人材紹介サービスを展開するシニアジョブ社(東京・新宿)の分析によると、「副業OK」の文言を含む求人の中で、最も大きな割合を占めているのが「介護職・ヘルパー・看護助手」(13.6%)でした。次いで「調理師・調理補助・料理長」(11.5%)となっており、医療・介護・食を支える専門職が全体の牽引役となっている現実が明らかになっています。
近年は事務や営業、経営コンサルタントといったホワイトカラー職への波及も指摘されていますが、依然としてメインは私たちの近くのヘルスケアの現場です。
2. 賃金の平たん化と、時給14%上昇の相関関係
なぜ、これほどまでにシニア層が副業へと向かうのでしょうか。年齢とともに右肩上がりに給与が上がる時代が終わりつつあります。
パーソル総合研究所の中俣良太研究員は、「60代以降は役職定年や再雇用の影響で収入が伸びにくい。若手社員の処遇改善が進んだこともあり、賃金カーブの平たん化が進んでいる」と分析しており、シニア世代が本業だけでは収入面に不安を抱えやすい構造を指摘しています。
こうした現役世代〜シニア移行期の収入の落ち込みを補完しているのが、待遇の改善です。
先述のフロッグ社のデータ(2023年1月〜2026年5月)によると、「シニア×副業」求人の平均時給は14%上昇しており、市場全体の平均上昇率(11.7%)を上回る伸びを記録しています。
これについてシニアジョブの中島康恵社長は、最低賃金の引き上げが進んだことで、これまで低賃金に据え置されていた専門職層の時給が底上げされたことが要因であると解説しています。
3. 「月20時間」の隙間バイト。タイミーではワーカー数が1.9倍に
シニア層の副業スタイルは、年齢層やライフステージに応じて明確に変化しています。
ライフステージによる働き方の違い
- 60代前半: 再雇用などによる本業(正規雇用)と副業を組み合わせる。
- 65歳以上: 年金を軸に、短時間の就労(スポットワーク)を掛け持つ。
実際、パーソル総合研究所の調査によれば、60代の月平均の副業活動時間は「20.2時間」となっており、20〜50代の平均(22.5時間)に比べて短い時間で効率的に働いていることが分かっています。
この「隙間時間に少しだけ働く」というニーズに合致しているのが、近年急速に普及しているスポットワーク(単発バイト)です。
スポットワーク仲介大手のタイミー(Timee)が公表した2025年4月時点のデータによると、同サービスに登録する60歳以上のワーカー数は約30万8,000人に達し、前年同月比で約1.9倍に急増しました。医療・介護の周辺業務や調理補助といった現場で、シニアが重要な労働力としてマッチングされています。
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結論と考察:現役医療・介護スタッフが見据えるべき将来
今回のデータが示しているシニア副業の倍増は、私たちが将来再雇用となったときにおいても医療・介護スタッフとして働く可能性が高いということを示しています。
年齢を重ねるにつれて体力的な負担は増していきます。何歳まで現場で動けるかには個人差があり、シニアジョブの中島社長も「企業側は健康状態に応じた柔軟な調整や密な連携が不可欠」と指摘する通り、限界があります。
だからこそ、現役である今のうちから「現場の切り盛り(肉体労働)」だけに依存しないキャリアの軸、すなわち「医療・介護の経済ロジックを理解し、システムや制度をハックする側(マネジメントやビジネス、DXの領域)のスキル」を主体的に身につけていく必要があります。
当ブログでは、年齢に縛られずにヘルスケア市場で価値を担保し続けるための生存戦略を、今後も冷徹なデータとともに発信していきます。
本記事の執筆における客観的根拠・データ参照元
当記事は、以下の報道内容および各専門機関による公表データを基に、客観的事実に基づいて構成しています。
日本経済新聞 2026年6月24日付朝刊 19ページ「シニアの副業求人倍増、介護や調理 事務にも波及、3年前比」
統計データ・分析引用元:
- 株式会社フロッグ: 求人ビッグデータ分析(2023年1月~2026年5月時点の「シニア×副業」求人数推移・平均時給上昇率データ)
- 株式会社シニアジョブ: シニア向け求人の職種構成比データ(中島康恵社長による市場分析コメントを含む)
- パーソル総合研究所: 賃金カーブおよびシニア層の副業活動時間調査(中俣良太研究員による解説を含む)
- 株式会社タイミー: 2025年4月時点における年齢別登録ワーカー数統計データ


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