【通所サービス経営】圧迫する送迎コストの課題と解決策
デイサービスの経営を圧迫する送迎コスト
デイサービスやデイケア(通所リハビリテーション)の運営において、避けて通れないのが利用者の送迎業務です。
多くの施設では、リハビリやケアの専門職がドライバーを兼務したり、限られた予算の中で送迎車を維持していますが、見えにくいコストと人手が隠れています。
2026年3月の日本経済新聞の報道をもとに、介護現場の送迎が抱える問題と、自動車メーカーなどの民間サービスを活用した最新の解決策を客観的データとともに解説します。
1. デイの送迎コストはかなりかかる。業務時間の2〜3割を占める現実
介護人材の不足が深刻化する中、事業者にとって送迎業務は経営的にも現場の負担的にも非常に重いコストとなっています。
実際に送迎支援の実証実験に参加した社会福祉法人の理事長は、「施設の業務時間の2〜3割を送迎が占める」と明かしています。これは、本来であれば直接的な介護やリハビリ、あるいはマネジメントに充てるべき時間の約4分の1が、車の運転や送迎計画の作成によって消費されています。
人件費だけでなく、車両の維持費、ガソリン代、保険料、 tenderそして万が一の事故リスクまで考慮すると、送迎にかかる実質的なコストは現場の想像以上に膨らんでいます。
2. 送迎時間の制限と遊休車両の発生
送迎コストをさらに悪化させているのが、時間帯による車両のミスマッチです。送迎の時間は、利用者のサービス時間に合わせて固定されているため、それ以外の時間帯は車両が全く活用されません。
【サービス形態による車両活用のズレ】
- 1日型デイサービス: 朝に自宅へ迎えに行き、夕方に送り届ける。そのため、「昼の時間帯」は車両もドライバーも全く使わない。
- 半日型デイサービス: 午前と午後で利用者が入れ替わるため、昼の時間帯に送迎が集中する。
このように、同じ通所施設であっても、提供するサービス形態によって必要な時間帯が完全に分断されています。それぞれの施設が個別に車両を所有・運行している現状は、エリア全体で見れば「使われていない時間=無駄なコスト」を大量に発生させている構造と言えます。
3. 民間サービス(ダイハツなど)を利用した効率的な共同運行へのシフト
こうした現場の限界に対し、自動車メーカーなどの民間サービスをハックして「効率的な運用」に変革する動きが始まっています。
例えば、ダイハツ工業が展開する福祉介護・共同送迎サービス「ゴイッショ」では、複数のデイサービス施設が個別に行っていた送迎業務を外部に委託し、エリア内で共同運行する実証実験を行っています。
【民間システムを活用した効率化のメリット】
- 遊休車両の融通: 1日型デイが昼に使わない車両やドライバーを、昼に送迎が必要な半日型デイへ融通し合う仕組みを構築。
- 台数と負担の削減: 共同運行により、エリア全体で使用する車両台数が減り、地域の渋滞緩和にも貢献。
- 通し送迎の実現: ダイハツの「らくぴた送迎」システムでは、利用者を送り届けた流れで別の利用者を迎えに行く計画を自動策定。一度施設に戻る無駄を排除。
民間企業の高度な運行管理システムやリソースのシェアリングを導入することで、これまで個別最適で非効率だった送迎を完全に外部化・効率化することが可能になっています。
結論と考察:専門職が「運転」から解放される経済的メリット
厚生労働省の推計によると、2040年度には約57万人の介護人材が不足するとされています。このような時代において、専門職や現場のスタッフを送迎計画の作成や毎日の運転業務に時間が割かれることは、経営的にも大きな機会損失です。
民間サービスやDXシステムを上手く活用して送迎を効率化できれば、浮いた時間を他の重要業務(直接的なケア、新規利用者の獲得、マネジメント)に充てることができます。
これからのヘルスケア経営、そして現場で価値を担保し続けるためには、自前主義にこだわらず、外部の経済ロジックや仕組みを賢くシステムハックしていく視点が不可欠です。
本記事の執筆における客観的根拠・データ参照元
日本経済新聞 2026年3月31日付朝刊 地方経済面(関西経済) 10ページ
「ダイハツ、介護の送迎支援強化 複数事業者で車両シェア、効率運用で負担減らす」


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